岸ゴムほぼ日刊コラム

■■ 羊男のクリスマス ■■

Written by カフカ


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バイクについて3
幼馴染がバイクを買った
僕のバイクの兄弟にあたるやつだ
初めてのツーリングはオフロードバイクではないと走れないところに決めていた
滋賀県の山奥にどうしても行きたいところがあったのだ

目的地までは順調であった
楽しい楽しい道であった
しかしながらいざその山奥に着くと岩と傾斜でお互い5mぐらいしか進むことができず悪戦苦闘した
互いの妻に
”絶対に危険は避ける”
と約束してバイクを許可してもらっている僕たちは30分の格闘の末、勇気の撤退を決定した
走れるバイクに乗っても走れる技術がなかったのだ


いつかリベンジしようと話し合い降りようとする僕たちの後ろからものすごいエンジン音が響いた
スイスイと僕たちの横を登っていくバイク
尊敬の眼差しで見送ると、そのバイクの持ち主が歩いて僕たちの所まで降りてきた

そのライダーは開口一番
「さぁ行くぞ!」
と、”初めまして”をとばして、代わりにいきなり檄をとばす
僕たちは今から降りるんですよと一生懸命に説明するも「行ける行ける!」
だなんて頑として受け入れてもらえず、
”こんな所来なきゃ良かった”
と、完全に逃げ腰になっていた僕たちは何とか残りカスみたいな勇気をふり絞りアクセルをひねることになった
正直に言うと嫌々ひねることになった

何度もコケて、何度も助けてもらい、何度もバイク押してもらい、僕たちはいつしか彼を”師匠”と呼んでいた

師匠は先に行って大きな石をどかしたり
バイクに足が挟まって動けないと飛んできてくれたり、何より
「行けー!」
なんて励ましてくれて僕たちは何とか目的地に着くことができた

師匠に何度もお礼を言って、一緒に写真を撮ってもらい、握手をした
「ほな、気をつけてなー!」
なんて手を振りながらパンクしたバイクで降りていく師匠を見送りながら、底知れぬ達成感が湧いてきた

40になっても冒険はできるんだと幼馴染と笑いあった

改めて、師匠ありがとうございました




     

2023年5月23日(火) No.78

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